合格体験談04

行本 顕氏(三菱鉛筆株式会社 生産統括部)

概略

合格者  行本 顕(ゆきもと けん)
所属 三菱鉛筆株式会社 生産統括部
受験資格 APICS CPIM(Certified in Production and Inventory Management)
学習期間 9か月程度 (2017年3月開始、2017年11月合格)
学習時間 120時間程度 (1科目あたり24時間x5科目)
英語使用状況等 サプライヤーとのコミュニケーションで日常的に使用/TOEIC 900点台

 

受験の動機

アメリカ企業とビジネスで対等に渡り合うためにはSCMを学ばなくてはならない、そのような危機感にも似た思いが私のCPIM受験の原動力となりました。
少々昔の話になりますが、2010年から2012年にかけ米シカゴに駐在していた際に担当業務を通じてSCMの概念に接する機会に恵まれました。現地企業ではAPICSのSCM知識体系がスタンダードとして認識されており、かつ役員から担当者レベルに至るまで業務上の共通言語として日常的に使われていました。「英語で話せるだけでは駄目、中身が肝心」とはどの分野でもよく聞く話ですが、まさにそのような状況に自らが置かれていることに気づき、冷や汗をかきながらSCM分野のスタンダードを習得する決心したことを昨日のことのように覚えています。この際の衝撃が動機となり、今回の受験に至った次第です。
APICSにはCPIMとCSCPという2種類の試験があり、いずれを目指すべきか判断に迷うところかと思います。私自身は最終的に各論レベルのディスカッションに耐え得る知識の裏付けが不可欠と考え、より実務に即した内容が試験範囲に含まれるCPIMを選択しました。

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CPIMの受験料、教材費、および講座受講費用は何れも安価ではありません。そのため実際に受験を検討する際にはこの点で二の足を踏む状況になるかもしれません。私の場合は大変ありがたいことに勤務先の理解と全面的なサポートを得ることができましたので、最終的に今回の受験を決断しました。
私がCPIM試験を受験した2017年は試験の科目数が5科目(BSCM/MPR/DSP/ECO/SMR)から2科目(BSCM=Part I/Part II)に統合*される過渡期の年でした。1科目目のBSCMを旧制度で受けた場合に合格実績を新制度のPart Iに援用できる経過措置がありましたので、当初は私自身もPart II試験の解禁を待って2科目でのCPIM合格を目指すことを考えていました。しかしこの間に力試しのつもりで受けたMPRに運よく合格したことで「このまま進めば国内で最後の旧制度合格者になるかもしれない」との好奇心が勝ったこともあり、旧制度5科目での受験を続行しました。今にして思えば「山を1つ登るよりも丘を4つ越えた方が楽」ということであったのかもしれませんが、結果的にモチベーションを絶やすことなく長丁場の試験を乗り切ることができましたので時の運にも恵まれたと感じています。
*試験範囲そのものは新旧試験とも同じです。

 

学習方法

<使用教材>
・CPIM Participant workbook(全5科目)
<試験勉強のポイント>
①BSCM(4月)
・8時間x3日間の公式対策講座を受講し、受講直後の勢いで受験しました。本科目の試験勉強に要した時間を以降の科目の試験勉強時間の目安としました。
②MPR(7月)/DSP(9月)/ECO(10月)/SMR(11月)
・いずれの科目もAPICSが出版する標準テキストを独習して受験しました。
・MPR・DSP・ECOについてはBSCMの学習過程で目にしているトピックが多く含まれるためテキストは1回~2回通読したのみです。試験対策としてはこれら3科目に共通して出題される計算問題にヤマを張りました。私のケースではこれが奏功したようで、合格点に達することができました。ただし勉強時間の面ではそれなりに手を抜きましたので得点も相応。少し後悔しています。
・SMRについては他科目との重複が少なく、かつより正確な用語法の習得が必須となります。テキストに書かれている情報のみでは学習範囲としてやや不足であり、章末問題(とウェブ上で提供されている解答)をきちんと学習範囲に含めることが重要です。

 

合格後に何が得られたか

CPIMはSCM分野に携わる上で必要な水準の知識の有無を端的に示すものです。たとえ初対面のサプライヤーとの会話であっても有資格者同士であればお互いの発言・判断に対する信頼感は小さくありません。あくまでも私個人の感想ですが、この傾向は特にグローバルで顕著と実感しています。
もっともCPIMも他の資格試験と同様、座学で得た知識のみで全てをカバーできるわけではありません。実務においては日々ベストプラクティスに学ぶことになり、またより深い知識を求めて隣接する専門分野の門を叩くことも日常茶飯事です。日本国内のSCM分野はまだまだ情報が充実しているとは言えない段階にありますので、実務家としては資格取得後も共通の知識を持つコミュニティーに仲間入りし、各論レベルでディスカッションできる環境に身を置くことが大切といえます。振り返りますと、CPIM受験をきっかけに多くの(ただし日本国内では希少な)同じ志をもつ仲間と出合えたことが最も重要な成果だったのではないかと思います。

 

さいごに

日本国内のSCM分野への関心は実務家を中心に年々盛り上がりをみせており、業界を超えたサプライチェイナーの交流が一層活発になりつつあります。CPIM試験情報をはじめAPICSに関連する情報を定期的に発信するAPICSコミュニティー、JILSの「ストラテジックSCMコース」(旧東京工業大学大学院キャリアアップMOT)及びその修了生で構成されるストラテジック・SCM・フォーラム・ジャパン(SSFJ)、SCORを軸とした研究グループを擁するVCPCといった実務家のコミュニティーはその最前線に位置するものといえます。一方、現時点での日本国内のCPIM取得者は100名前後とグローバルの10万人に対し決して多い人数とは言えません。この先一人でも多くの仲間がCPIMを取得し、共に日本発のグローバル・サプライチェイナーとしてプレゼンスを高めていくことができればと思います。